終了済み講義
本書は、二十世紀を代表する物理学者であるアインシュタインとインフェルトが、専門的予備知識を持たない読者のために物理学の全貌を解説した書籍です。本書は知名度が非常に高いアインシュタインが著者の一人であるということもあり、タイトルをお聞きになった方もいるかもしれません。また、この本は、ノーベル賞物理学賞を受賞された小柴昌俊先生が、旧制中学時代に読まれて研究の道を志したというエピソードでも有名です。
本書では、数式をほぼ用いずに比喩をふんだんに用いて現代物理学の全貌を解説しております。その表現は非常に巧みでまるで美しい小説を読んでいるような感覚を覚えます。内容に関しては、80年以上前の書籍であるということもあり、最新の物理学の知識を得るためには正直な所、不足している部分もあります。しかしながら20世紀初頭の古典物理学から現代物理学に移り変わる黎明期の雰囲気を存分に味わうには最適な書物です。また物理学の知識だけでなく、科学的な思考法を身に着けるという点においても非常に優れた書物であると思います。
本講義では、本書の解説を行う際に、あえて数式を用いる予定です。文章で書かれている内容を数式一行で説明する事が出来るので、その面白さも味わっていただければと思います。
(※)用いる数学の難易度は高校初級レベルを想定しております。ベクトル、微分積分に関する知識は補講等で適宜補足していきたいと思っております。
(※)本書は上下巻で構成されています。ご参加の際は上下巻をご用意下さい。
第1回講義:2022年09月11日(日):20:00 - 21:30
イントロダクションとして、本書の読み方、著者のアインシュタイン、インフェルトに関して説明いたします。理数系の書籍は小説を読むように読んではいけないと本書にも書かれています。それではどのように読めばよいのでしょうか?実例を通してご説明いたします。 また、私自身が研究している最新の物理学分野についても紹介いたします。
第2回講義:2022年09月18日(日):20:00 - 21:30
I「力学的自然観の勃興」、II「力学自然観の凋落」を取り扱います。 日常の現象を物理学的に記述するとはどういうことかということに関して、実例を元に説明していきます。ここでしっかり科学的な考え方を身に着けていただきたいと思います。
第3回講義:2022年09月25日(日):20:00 - 21:30
II「力学自然観の凋落」、III「場の相対性」を取り扱います。 古典的な物理学がどのように破綻していったのか、そこでどのような概念がうまれてきたのかについて紹介いたします。アインシュタインはまさにこの激動期で活躍した研究者ですので、とてもワクワクする部分でもあります。
第4回講義:2022年10月02日(日):20:00 - 21:30
III「場の相対性」を取り扱います。 ここから本格的に相対性理論の話に入ります。「場」という不思議な概念に触れていただきたいと思います。
第5回講義:2022年10月09日(日):20:00 - 21:30
IV「量子」を取り扱います。 実はアインシュタインは相対性理論ではなく量子力学に対する貢献でノーベル物理学賞を受賞しております。その考えに至った道筋を一緒に歩んでいきましょう。また、本書では詳しくは述べていないのですが、相対性理論と量子力学を統合した場の理論に関しても簡単に紹介させていただきます。
こんにちは!東北大学で物理学の研究をしている時安と申します。The Five Booksではこれまで主に人文系の書籍を題材に講義を行っておりましたが、今回は新しい試みとして理数系の書籍を取り上げてみようということになりました。また私自身、一般の方々に最新の研究成果を紹介させていただく機会はあるのですが、一つの書籍に基づいて物理学の全貌を説明しようとするのは初めての経験となります。皆さまからのご意見、ご感想を元に、有益な時間を皆様と作り上げていきたいと思っております。
物理学は難しくて敬遠しているというご意見をよく聞きます。それは確かだと思います。日常の生活を普通に送っているだけでは出会わない概念がどんどん出てきますし、現象を記述するためには高度な数学技術が必要となります。物理学の世界は非常に奥が深く、私自身も全てを理解しているわけではありません。ただ、科学的な考え方を身につけているので、新しい概念に出会った際には割とすんなりと受け入れる事ができているなという感覚があります。
物理学の知識だけでなく、科学的な考え方を訓練するためにも本書はうってつけだと思います。物理学に普段なじみのない方も、これを機会に、物理学の描く不思議な世界に飛び込んでみませんか?皆さまのご参加、心よりお待ちしております!